磯ハンター のつなぎ方(頑張照蔵・作)
“よつあみ”から発売されている磯ハンターは紫外線に対して耐性が高く、水に浮くので泳がせ釣りには最適の糸と思われます。しかし、高価なのが欠点であり、またとてもよくすべる糸なので結びやつなぎに不便している諸氏が多いものと思われます。
そこでここに僕のつなぎ方を紹介させていただきたいと思います。とても簡単なつなぎ方で、所要時間は約2分。しかもそれなりの強度が期待できるつなぎ方です。
しかしながら特殊器具を使いますので、各自気に入ったのを自作しなくてはなりません。この器具の制作方法も後述します。
つなぎのテストは2種類の違ったつなぎ方で行いました。一つはただ通しただけのもの。もう一つは交差させて通したものです。
テストに使ったのは磯ハンターの80号。相当以前に購入したのに未だ現役です。
?ただ通しただけのもの
まずはただ磯ハンターの80号に磯ハンターの80号をただ通しただけの物をテストしました。 約60?通しただけですが、数回切断試験をしたのですが、いずれも結び目(最強結び)が切れて しまい、つないだ部分はなんともありませんでした。
で、実際にどのくらいの接続強度があるのかを想定してみました。3?から11?までを1?刻み で通す長さを変えて引き抜きテストして見ました。判ったことは下記のようなものです
引き抜き強度をXとし、通した長さをYとするすると概ね
X=Y2/10
となることです。
※この糸は非常に滑りやすい糸なので測定値(引っ張り強さ)にバラツキが多く、各長さで概 ね50回づつ計ってその平均値で出してあります。
ですから40?の強度を持たせたいと思ったら概ね20?、80?の強度を出したいと思ったら約 28.3?通せば良いということになります。しかし現実には大事を取ってその2〜3倍くらいの長さを 入れた方が良いと思います。
よって上記の式を変えるとX=2〜3/10Y
2ということになります。尚、このつなぎ方ですと少々つ なぎ目が太くなるものの、タイムカッターは充分に使用可能です。
?交差させて通したもの
しかしながらこの方法は最後に外側にある磯ハンターの切り口がボサ付いてしまい、取り込 みの際、この部分をつかむと簡単に抜けてしまうことがあるので、その部分をセキ糸でせる必要 があります。よってこの作業に約10分を要してしまいますので、釣りをしている現場ではちょっと 面倒臭いと思います。そこで考え出したのが両方の切り口を両方の糸に入れてしまう方法です。 この方法は同じ長さであればただ通しただけの方法よりも強度が出る事は確かです。どのくらい 違うかというテストはしておりませんが、やはり測定値のばらつきはかなりあるものと思われ、で きたら上記の長さを基準にして通していただきたいと思います。
【通し方】
先にも述べましたが特殊器具を使います。『糸通し』とでも呼びましょうか。要は針の穴に糸を通 す道具の巨大判です。僕はピアノ線を曲げて樹脂で持つところを作っていますが、皆様は自分で 使いやすいように工夫してください。(作り方は後述)
糸通し
まず通したい糸(通す側)の切り口を少しボサボサにほぐしておきます。
そして通される糸の通したい長さのところに上記の器具を刺します。このとき注意しなくてはな らないのは、通される糸は中に糸が入ると太短くなるので、通し終わったときの長さは概ね8割 から8割5分くらいになっていることを念頭において刺す位置を決めてください(どうせ正確な値は 出ないのだから長ければ良い)。
そして磯ハンターの中に糸通しを通して行きます。
そして切り口から糸通しの先が出たら先ほど頭をボサボサにほぐした磯ハンターの先っぽを糸 通しに捕まえさせます。このとき、まともにつかんでしまうとまず通りません。あくまでも先っぽをち ょっとだけつかませるのがコツです。
そして器具を引いて糸を糸に通して行きます。このとき注意することは、糸を持つ手の位置です。 必ず通す糸のちょっと先を持って、通される糸が太くなるようにして通さないと通りません。最初 の所は方向が決まらないのでなかなか通り辛いですが、最初が通ってしまえば後はスルスルと 抜けて来るはずです。
そして通す糸が出てきたら糸通しを外してそこを通された糸と一緒につかんで、太くなった通され た糸をしごいて細くしてやります。そして通した糸を少々戻して通した糸のボサボサの切れ口も入 れてしまいます。一応これで終わりです。
文章で書くとやたら長くなるのですが、慣れてしまえばとても簡単な方法です。一応通し終わった ら、つないだ磯ハンターの片方をどこかに結んでもう片方を自分で持って引っ張って見てくださ い。抜けないと思います。ところが下記のように引っ張ると、簡単にスルスルと抜けます。
ですから最後にギャフ入れをするときなどにこの部分を持つと簡単に抜けてしまうことがあるので す。よって、できるだけ鈎に近いほうの糸が外側(通される糸)でリール側が内側(通す糸)に来る ようにした方が安全だと思います。また、そのようにした場合、今度はこのボサボサがガイドに引 っかかると簡単に抜けてしまう危惧があります。ですから、できましたらその上をセキ糸でせって いただけたら完璧です。僕はデンタルフロスでせります。
?の方法はこのせるのが面倒くさいので考案しました。下図のようにお互いの糸の中にお互い の糸を通してしまう方法なのでせる必要がありません。しかもただ通すより強度がありそうです。
通し方は上記と同じですが、最初に通す糸を通される糸の2倍のところに糸通しを刺して半分 のところで抜いてしまいます。
そしてそこから通される糸を同様にして通します。
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で、今度は通す糸と通される糸を逆にして通してやれば出来上がりです。
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こちらの方法ですとせる必要がないので、概ね片側1分づつ、つまり2分でで出来上がってしまい ます。釣りの現場で糸をつなぐの事はあまりないかもしれませんが、2分くらいなら頑張れると思 います。
糸通し
鋼線を下記のように曲げ、握りを付けただけのものです。僕の場合は鋼線にピアノ線、握りは 樹脂で作っていますが、ピアノ線ですと現場に持っていくと錆びてしまいますので、ステンの比較 的硬い線を使えば問題ないと思います。握りは何でも使いやすければ問題ありません。
曲げるときに注意しなくてはならないことは、特に先を曲げるときにプライヤー等で線に傷を付 けないことです。線に傷が付くと磯ハンターの繊維は極細ですのでひっかっかってしまいます。 もしも傷が付いたら仕上げ研磨するか、作り直ししてしまった方が早いかも知れません。
全体像 先の形態
※鋼線はふくらみがあった方が使いやすいと思うので、もしも巻き癖があったらまっすぐに伸 ばさないでそのまま作ってください。